簡体字、繁体字、どう違うの?
クライアントの多くは、翻訳案件を発注いただく際、簡体字と繁体字がそれぞれ漢字圏における位置づけにあいまいな認識しか持ち合わせておらず、その都度、説明をさせていただくことが多々あります。
ここで、Q&A形式でできるだけ簡単に説明をまとめ見たいと思います。
❶漢字圏で簡体字と繁体字をそれぞれ使う国と地域は?
台湾、香港、アモイでは繁体字を使用、それ以外の漢字圏(中国本土、シンガポール、マレーシアなど)では基本的に簡体字を使います。
❷簡体字と繁体字は書体としての違いや2種類に存在する経緯は?
実は20世紀50年代半ばまではすべて繁体字でしたが、1956年頃から中国本土で簡体字が使うようになりました。もっとも、国民党時代の1930年代から簡体字切り替えの動きがあったようです。(途中で頓挫)1980年代頃からシンガポールで簡体字への変更が行われ、ほかの漢字圏も追随して簡体字が使われるようになりました。
❸中文和訳の案件は翻訳者をどう選べばよいのでしょうか
中文(簡体字・繁体字)和訳する際は、翻訳スキルを持つ翻訳者であれば基本的に誰でも難なくこなせるでしょう。強いて言えば簡体字ネイティブの翻訳者は、繁体字もほとんどが読める柔軟性に長けており、第一の選択でしょう。
❹和文中訳の案件は翻訳者をどう選べばよいのでしょうか
和文中訳(簡体字・繁体字)するケースでは、翻訳者選びが一番頭を悩ますことでしょう。ターゲットユーザー、訳文の掲載媒体、そして予算などによって、選択肢が分かれます。実を言うと、同じ漢字圏でも、言い回しや、固有名詞、そして文化的背景によるもの事の考え方に少ながらず違いが現れます。そのためユーザー(読み手)数が多い中国本土、香港、台湾にそれぞれ長期間くらしたことのある人以外はすべてこなせる翻訳者はほぼいないでしょう。ですので、すこしでもクライアントのターゲットユーザーに近づける訳文ができる翻訳者を選ぶしかないでしょう。