翻訳メモリ
翻訳メモリ(translation memory)とは、原文と翻訳文を一対としてデータベース化し、その内容を自動的に繰り返し利用することで翻訳を支援するソフトウェアである。
翻訳メモリは、翻訳を仕事とする人の業務の効率化と質の向上を支援するためのソフトウェアである。「翻訳メモリ」は厳密には原文と訳文のデータベースを指し、それを利用するソフトウェアは「翻訳メモリ ツール」と呼ばれる。「翻訳メモリ ツール」のことを「翻訳メモリ」と呼ぶことも多い。
従来型の翻訳メモリには、通常翻訳ソフトのような構文解析機能はない。したがって、翻訳メモリ ツールを使用することによって、原文が自動的に翻訳されることはない。翻訳自体はあくまでも翻訳者が行う。ただし、近年では翻訳メモリ ツールと翻訳ソフトを統合することにより、さらに効率の良い翻訳支援環境が実用化されている。
翻訳メモリの主な機能は
① 翻訳者によって書き起こされた翻訳を、その原文とともに、専用のデータベースに登録すること
② 過去にデータベースに登録された翻訳を、同じまたは類似の原文が出てきたときに自動的に引用することである。
これらの機能によって、同じ文章を繰り返し翻訳する文章を手作業で複製し貼り付けるなどのこれまで翻訳者に任されていた単純作業を自動化し、さらに同じ文章や類似した文章の翻訳における表現の統一も自動化されるため、文書全体としての翻訳品質の向上も期待できる。